処女・童貞をどう考える?
子ども・若者へ
「処女」「バージン」や「童貞」「チェリー(ボーイ)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。でも実際の言葉の意味を知っていますか?「処女」「童貞」という言葉は、性行為をしたことがない人のことを意味します。処女・童貞を定義するものが、一度も性行為をしたことがないことだとしたら、「性行為をする」とは何を指すのでしょうか。腟にペニスを挿入するという行為を一度もしたことがない人が「処女」「童貞」だと考える人もいます。挿入行為をしたことがなくても、口を使った性行為など、他の性的な行為をしたことがある人もいます。例えば口を使った性行為の経験だけの人は「処女」「童貞」になるのでしょうか?誰とも性的な行為を一切したことがない人だけが「処女」「童貞」だと考える人もいます。つまり、「処女」「童貞」という言葉のとらえ方が人それぞれ違うということです。あなたのパートナーが過去にどんな性的な行為の経験があるのかを性行為をする前に話し合うことは、自分の体を守るという意味でとても重要です。パートナー自身が「自分は処女もしくは童貞」だと認識していたとしても、性感染症に感染している可能性がある性的な行為の経験が過去にあるかもしれません。
過去には、女の子の性行為の経験の有無がとても重んじられていました。処女であるということ、つまりは「処女性」が女の子としていいものだと考えられていました。そして処女であるか否かは見た目で見分けることができるとも信じられていました。しかし現在では、見た目はもちろん、身体検査をしたとしても処女であるかどうかは判断できないことが証明されています。どんな種類の性的な行為であっても、そこに踏み出すことは大切な選択であり、それにジェンダー(性別)は関係ありません。
大切なことは、処女・童貞であるかどうかではなく、性行為をするという心の準備が本人に整っていること、そして性行為をするかどうかをその人自身が選択できることです。人によっては大切なパートナーに出会うまで待つこともあれば、もう少し年齢を重ねて、高校生か大学生になるまで待つ人もいます。性行為の後の思いがけない結末になり得ることに対して、気持ちの準備ができていない人たちもいます。価値観はみんな違うということ、そしてすべての人の選択が大切に、尊重されることが重要です。性行為の経験の有無によって人の良し悪しは決まりません。あなたにとって一番いいと思う選択、健康的だと思える選択をすることが大切です。両親や保護者または信頼できる大人(お姉さん・お兄さんや親戚のおばさん・おじさん)に相談してみてください。何があなたにとって良い選択なのかを見つけ出す助けになるはずです。
保護者・大人の方へ
会話のきっかけづくり
親や保護者が処女や童貞であることについての知識を子ども・若者達と話すことで、子ども達は自分が性行為をする心の準備ができる時期や、心の準備の方法を知る大切な会話のきっかけ作りができます。親が性に関することの対話を先導することで、親に性に関して相談してもいいんだと子ども達に示すことができます。この土台を作ることで、子ども達は親や保護者に、性に関する質問やアドバイスなどを求めやすくなります。
例えば以下のような方法で、会話を始めることができます:
テレビを見ている最中に話してみる
テレビを見ていて、登場人物が「処女・童貞を守るべきか捨てるべきか」を迷っているシーンがあったら、こう聞いてみましょう。「処女・童貞だと思われたくないから性行為をするって正しいと思う?」「性行為の心の準備がまだできているか分からない人にとって、よく考えるべきことって何だと思う?」
性に関することでいじめられている人がいると聞いた時に話してみる
性行為をしたこと、もしくは性行為をしたと思われたことでいじめにあっていたり、処女・童貞だと思われたことが原因でいじめにあっている子ども・若者がいることを耳にしたら、次の質問を投げかけてみましょう。「性行為したとか、しなかったことが原因でいじめられてる子がいるって聞いたことある?」「処女・童貞だから、あるいは処女・童貞じゃないって思われたことで友達がいじめにあっている時、あなただったらどうする?」